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客足の絶えない映画街の喫茶店 本通商店街が湊川公園に差し掛かろうかというあたり。昭和29年創業の「ベラミ」は、界隈でも最古参の喫茶店の1つ。今はのんびりとした地元の憩いの場といった趣だが、昭和30年代頃は隣も向かいも、公園の上にも…と、店は映画館の輪の中にあった。「本通りは、まるで初詣でみたいな人出で、向かいにも渡るに渡れない状態でした。」と、振り返るのは店主の江さん。当初、設計士でもあった江さんの叔父が手掛けた、アールデコ調の洒脱な雰囲気の店内には、映画帰りのお客が入れ代わり立ち代わり。夜中を過ぎても、客足は絶えなかったという。 さらに、ちょうど放送が始まったばかりのテレビも、横須賀の米軍キャンプまで出かけて購入。当時、湊川公園に観音扉に納まった街頭テレビがあったくらいで、まだまだ貴重な存在だった。とりわけスポーツの中継が始まると、店内には立見の客も出た。 モダンな設えの新開地サロン 少々窮屈になってきたこともあって、昭和43年に店を改装しフロアを拡張する。ゆったりと置かれた革貼りのソファチェアは、親族が経営していたジャズ喫茶の草分け「白馬車」と同じ特注の家具をしよう。茶系の渋いトーンに趣を変えた店内は、震災をこえて同じ姿を留めている。「当時は珈琲とデザートくらいの本当の純喫茶で、約40坪と界隈では広い方だった」と江さん。ミッドセンチュリー風のシックな店内には、「上島珈琲」の初代会長や「神戸牛乳」の社長、神戸電鉄や湊川温泉の社員ら、新開地の勤め人がほぼ毎朝顔をそろえた。 英国『ガラード』製プレイヤーから流れるジャズに、珈琲は元町「エビアン」に次いで早かったサイフォンで。かつての大歓楽街・新開地にあって、ここ「ベラミ」は、もっとも贅沢なくつろぎの空間だったに違いない。 (「アレッ!新開地 vol.20」より)
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革張りのソファチェアーに茶系の渋いトーンの店内は、レトロファンにはたまらない。 【紹介者プロフィール】
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